きみのひだまりになりたい



瞼を押し上げた。

自然光に集中砲火される。少し痛くて視界をせばめた。今日は一段と日差しが強い。セミも感化され、これみよがしに啼いている。


昼下がり。雲の少ない青空。天気晴朗。
うん。やっぱり、晴れの日の東屋が好きだなあ。


ここに足を運んだのは、1週間ぶりだった。


雨を吸いきれずに水たまりを作っていたベンチは、若干もろくなっていたものの、からからに乾いていた。テーブルに焼きそばのパックはない。表面にうっすらとソースのシミが残っている程度。入口の端っこには、セミの抜け殻がひとつ転がっている。

光と影のコントラスト。色彩と濃度の移ろい。最高気温30度越えをカバーする緑の葉。あぁ、なんて、変わり映えのない景色。



あれから7回、日は昇ったのに

相変わらず、ひとり、待っている。



今日も会えないのかな。待ってるだけで日は沈むのかも。それが日常となっていた。当たり前じゃなくなるのはいつなんだろう。




「会いたいな……」




伝えたかった。謝りたかった。あのうそを、うそじゃなくしたかった。


……落ちこみすぎはよくない。どうせ来週、会える。夏休み中に設定された、登校日だ。午前中だけで放課となる。昼休みはないけれど、いいもん、会いに行く。


ベンチに深く座り直した。にぶい音が鳴る。お気に入りのスニーカーを履いた足をぶらぶら揺らしながら、白と橙色の長方形を手にした。いつものオレンジジュース。ここに来る前に買っておいた。糖分と水分の補給は欠かせない。


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