きみのひだまりになりたい


デジャヴ。その単語が脳裏をよぎる。こめかみに汗が伝った。




「……熱は、ねぇな」


「そ、そりゃないよ!」


「ちゃんと完治したんだろうな?」


「した! しましたよ! だからここに来たんだよ……!」




ならよし。そう言って、木本くんはおでこを離す。隣にこしを下ろすと、胸をなでおろし、オレンジジュースをひと口飲んだ。


なんだか、ふしぎ。当たり前のように木本くんが隣にいる。1分前までは当たり前じゃなかったのに。こういう気持ちって、なんて表せばいいんだろうね。




「1週間」


「……へ?」


「夏祭りがあった次の日から、今日まで、1週間。待ってた。なんとなく、いつか、ここに来るんじゃねぇかって思って」


「……そう、だったんだ……。心配、かけちゃったよね」




意識が浮上したのは、夏祭りから2日経ったころだった。

わたしはなぜか病院のベッドで横たわっていて、そのそばで両親が泣いていた。無茶するなって、みっちり叱られた。自業自得だと痛感した。


二階堂先生が救急車を呼んでくれたらしい。お見舞いにも来てくれたようで、マリーゴールドの花とビタミンCたっぷりのみかんが飾られていた。

そういえば気絶する前、二階堂先生が駆けつけたんだっけ、と想起した。退院してから、暑中見舞いと感謝のハガキを送った。


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