きみのひだまりになりたい
それから絶対安静を言いつけられ、5日間、よく食べてよく寝た。だんだんと腫れが引き、脈拍が安定していった。そうして今日やっと完全に熱から解放されたのだ。
自分でもまさか1週間もかかるとは思っていなかった。さっさと治せる気でいた。甘く見ていた。余裕ぶったらいけない。わたしのことは、まずはわたし自身が、大切にしなければいけないんだから。
「なんで言わなかった」
「え?」
「体調わりぃなら言ってくれりゃ……。言わねぇとわかんねぇって言ったのどこのどいつだよ」
「ち、ちがうよ! 元気だったよ!」
「このごにおよんで……」
「本当だって! むしろ元気がありあまっていたくらいだったよ。木本くんと一緒で楽しくて、アメリカンドッグひとつだけでも充分おなかいっぱいになった。わたしにとって、幸せな夜だったよ」
「うそつけ」
「うそじゃないよ。信じて? ね?」
無骨な手の上に、わたしの手を乗せる。サイズがまるでちがう。あまりにちっぽけで、指を広げても、すべてに触れられない。
それでも届けたかった。届けたいと思った。
「ほら。今、わたし、熱っぽくないでしょ?」
「……完治したからだろ」
「わたしがうそをついてないからだよ」
は?と、怪訝そうに眉をひそめられた。予想どおりのリアクションに、思わず笑いがこみ上げる。
もっと緊張するかと思っていたけれど、想像していたよりもずっと、わたしの心の中は安らいでいた。
「言ったでしょう? わたし、自分に正直に生きるって決めてるって」
「だから、うそつかないって? それとどう関係が……」