きみのひだまりになりたい


◆◆



うそつき、と言われれば、きっとそうなんだろう。




中学2年の夏は、一瞬で終わった。

新学期になり、学校生活もあわただしく過ぎていく。夏も秋も、平日も休日も、しょせんは名称が異なるだけの同類。あっという間に流れていく。気づいたらあと戻りできなくなっている。無慈悲だ。


夏休みが明けてからというもの、校内はお祭りムード一色だ。1学期は体育祭、そしてこの2学期は文化祭が一大イベント。休みボケをそのままに浮足立ち、授業に身が入らない生徒が続出していた。




「まひるちゃん! これどうしよう?」


「ん? どした?」


「明日までに決めないとなんだけど、これでいいのか心配で……」




ある日の昼休み。結月ちゃんが右手にお弁当、左手に1枚のプリントを持ち、わたしの席を訪れた。


プリントには、今朝のホームルームで決めた内容が記録されていた。準備に必要な物、役割分担、時間配分。それらはホームルームだけでは時間が足りず、最後まで決めきれずにいたが、紙の上にはしっかりと記されている。

ランチにする前に、プリントとにらめっこ。項目ごとに確認していく。人数とメンバーを調整した提案をすれば、なるほどなるほど、と結月ちゃんは早速シャーペンを走らせた。再度、ふたりで最終チェックする。




「うん、いいんじゃないかな!」


「まひるちゃんありがとう。助かったよお」


「結月ちゃん、がんばってるね」


「もっちろん! なんたって委員を任せられたんだもん。がんばらなくちゃ!」



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