きみのひだまりになりたい



「まひるちゃんがいてくれてよかったあ。ひとりじゃぜったい無理だったよ」


「もう。うれしいこと言ってくれるなあ!」


「だってほんとのことだもん」




にへらぁ、と人なつっこく笑う結月ちゃんに、周囲の男子がきゅんと胸をときめかしているのがわかった。罪な女だこと。このだらしのない笑顔を独り占めできる、この特等席が、さぞかしうらやましいことだろう。ゆずってあげないもんね。



お互いがお互いを認めていた。尊敬し、信頼し、補い合っていた。結月ちゃんがどれだけ人気になっても、遠く感じることはない。近すぎるくらい近くにいた。「好き」と言わなくても、「好き」が返ってくるくらいに。


重たい印象のある髪色を、好きだと言ってくれた。こしの位置まで伸びた長髪を、似合うねと言ってくれた。もし、明るく染めてみたいんだと、ショートにも憧れがあるのだと話したら、結月ちゃんはきっと笑って言ってくれる。好きだよ、似合うよ、と。




「なになに? なんの話してるの?」

「文化祭のこと?」

「役割ってどうなったの~?」




机にお弁当を広げていると、クラスメイトの女子3人が加わった。プリントを見たら、3人ともわあっと盛り上がる。彼女たちにとってもなっとくのいくまとまり方になっていたようだ。わたしと結月ちゃんは顔を見合わせて、グッドサインを示した。


2-Aは、縁日のお店を出す。教室の限られた空間を駆使して、ボールすくい、輪投げ、射的などの遊びを提供する予定だ。わたあめや焼きそばなどの食べ物系の出店もやりたかったのだが、今年は屋台やカフェが多いため、やむなく範囲をしぼった。


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