きみのひだまりになりたい



「着付け教室? それって、」



「まじ?」

「みんなで?」

「え~?」




……あれ?


結月ちゃんを制止し、女子3人は視線をちらちらと絡ませながら、揶揄するようにくすくす笑った。予想していた展開とちがう。みなぎっていた自信が、打ち砕かれていく。


何だろう、この感じ。味方だと思っていた人が、実は敵でした、みたいな。自分の言葉を、思いを、けちょんけちょんにされた気分。なんかやだな。




「みんなで着付け教室は、ちょっと、ねぇ?」


「お、お金がかからなそうなとこ、知ってるよ」


「タダでもさあ。みんなの都合が合うかわからなくない?」


「土日はみんな忙しいでしょ。そこまでガチ勢じゃないし」


「…………そ、っか」




まさかの全否定。付け足しの説明もできない。いいアイデアだと思ったんだけどな。誰にも賛同されずに、自画自賛で終わってしまったみたいだ。


今までに感じたことのない痛みが、心臓に襲いかかる。チクチクとしたトゲのようなものが、何千も突き刺さっているようだった。心臓は痛い痛いと泣いているのに、凍りついてしまい、トゲを抜き取れない。




「あ! あの、じゃあさ!」




淡泊な雰囲気の中、結月ちゃんは大げさなくらい明るく声を上げた。




「いくつかグループに分かれるのはどうかな?」


「グループ?」


「着付けもそうだけど、ヘアアレンジとかメイクとかも必要だよね? だからいくつかグループを作って、それぞれが着付けやヘアメイクの方法を調べたり学んだりしてくるの。そうすれば少数に負担をかけなくて済むし、みんなで力を合わせていいものができると思うんだ!」


「それいいね! グループに分けたら、人数が少なくなって、予定合わせやすいし」


「さっすがリーダー!」


「ひとりひとりじゃなくて、みんなでってのがいいよね~」


「うちのクラス、団結力すごいしね!」


「わはは! それ自分で言っちゃう!?」



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