きみのひだまりになりたい
わたしらしさって、何。
今まで、わたし、どう生きてきた……?
「まひるちゃんが何を思ってるのか、全然わかんないよ!」
わたし……わたしだって、痛いんだよ。怖くて、苦しくて、上手に生きていけない。
だって、わたしの言葉は役に立たなくて、呼吸がしにくくなるだけ。結月ちゃんにやさしくするには、みんなに否定されずに済むには、どうするのが正しかったんだろう。
傷つきたくなくて。傷つけたくなくて。その場をやり過ごせるなら、空気を読むよ。本音だって捨てられる。息のしやすいほうへ逃げてしまいたかった。
「わ、わたし……」
「……味方になってくれるって、思ってたのに」
「っ、」
味方だよ!
今さらそう言ったって信じてもらえない。わたしに言う資格はない。かわいい妹のような友だちよりも、結局、自分がいちばんかわいかった。
わたしが、否定した。傷つけた。泣かせてしまった。こんなサイテーな人間が、大切な特等席に居座っていいわけない。
「うそつき」
結月ちゃんはふいと顔を背けた。自分で涙を拭い、階段を下りていく。遠ざかるうしろ姿を、追いかけられなかった。重力に縛りつけられたように、上履きは重たく床に貼りついていた。
涙ぐんだひとことが鼓膜に焼きつき、何度も何度も反すうされる。うそつき。ああ、そうかもしれない、と心の中で自嘲した。何も言い返せない。立っているのでやっとだった。