きみのひだまりになりたい
日が沈むころ、インターホンが鳴る。わたしの家の門を、結月ちゃんが肩を落として通り過ぎていく。天をあおぎ、目頭を手の甲でこすっていた。
結月ちゃん、痩せた、なあ……。元々細くて、華奢だったのに、さらにか弱げになった。窓越しで遠いから、そう見えるだけなのかな。だったらいいな。結月ちゃんには元気に笑っていてほしい。
笑えないのは、わたしのせい……だよね。ごめんね。
わたしがこんなんだからいけないんだ。いつまで経っても向き合おうとしないで、大切な友だちを泣かせたまんま。わたしばっかり苦しいんじゃない。そんなのわかってる。だけど。
やな思い、したくない。
――ピンポーン。
――コン、コン。
金曜日。PM 6:00。
恒例となったベルの音。次は、お母さんの上辺だけの問いかけ。
……の、前に、ノック?
「まひるちゃん」
うすい扉を越えてくる、この声、は。
「ゆ、づき、ちゃ……っ」
部屋の前に、結月ちゃんがいる。なんでいきなり。いつもなら玄関で耐え忍んでいた。今日になってここまで来て、何するつもり。何を、言われるの。
きっと、怒ってる。うらんでる。悲しんでる。強がってる。ねぇ。そうなんでしょう。
わたしもそうだよ。甘えてる。おびえてる。悔やんでる。弱ってる。ほらね。わたしたち、ちっとも大丈夫じゃないんだよ。
どうせ会えない。会ったら、また、うそをつきそうになる。だったら、扉は開かない。いっそ待たなくていいよ。会いに行かないし、来いとも言わない。いいかげんわかって。わたしのために泣いたりしないで。もう誰も傷つけたくないんだよ。