きみのひだまりになりたい
「……山を張ったところがほどんど出なかったの」
「あー……なるほどね。賭けに出ちゃったのね」
「だって、そうするしかなくて……」
「次は一緒に勉強しよ。わからないところは教えるから」
苦手ながらがんばったんだね。だからそんなにしょぼくれてるんだね。次回こそ報われるようにわたしもサポートするし、応援もするよ。
机に張り付いたツインテールの頭をよしよしとやさしく撫でてあげると、栗色の頭が勢いよく起き上がった。ひよりんの眉尻と目尻が大きく垂れ下がっている。今にも泣き出しそうだ。
「まひるんんん〜〜! らぶ〜〜!!」
「あはは。わたしもらぶだよひよりん」
机を越えて抱き着かれた。熱烈なラブコールがうれしくて、もう一度頭を撫でながら破顔した。ひよりんの暗かった表情も明るくほころぶ。
ちょっとは元気が出たようで安心した。さらにぎゅうっと抱きしめる力が増し、わたしの笑い声が教室に響く。
ついでに
わたしのおなかの虫が鳴く声も。
ごまかしきれない音だった。化け物の慟哭のような鳴きぐあいに、わたしとひよりんは顔を見合わせてぽかんとする。一拍置いて、同時にくすっと噴き出した。
「おなか空いたね、まひるん」
大きくうなずいておなかをさすれば、ひよりんはまた笑った。ひよりんの腕がほどかれ、わたしは立ち上がる。
「購買行こうよ」
「あれ? まひるん、今日はお弁当じゃないの?」
「うん。今日は購買の気分なの」
「へぇー、めずらしいね」