きみのひだまりになりたい
わたしが質問を察したように、ひよりんも返答を察していただろうな。だってひよりん、今世紀最大にニマニマしてる。
校内で木本くんを見かけるたびに気にしていたことを、ひよりんが気づいたときも今みたいに直球で尋ねられた。
おとといまではひよりんと教室で昼食をとっていたが、昨日突然『屋上で食べない?』と誘ったときもそうだった。理由を話せば、十八番のは行のあいづちをして遠慮されてしまった。
3人でごはんも楽しいのに。そうつぶやいたら、『2人だからい〜んじゃ〜ん』と意味深にほほえまれたっけ。
「まひるんのそういうとこ好きだなあ」
聞きたいことを聞いて、感情をそのまま表すひよりんもたいがい素直だと思う。わたしとはちがう素直さを持ってる。かわいいな、と思う。
取り繕わず、いつだって自然体なひよりんが、わたしも好き。
たぶんわたしたちって素直どうしだから
一緒にいて楽だし、楽しいんだろうね。
「アメリカンドッグはあそこだよ」
ほどいたうでを前に出し、指差して教えてくれた。行列のできたレジの横にあるケースの中にきつね色の表面が見える。あとふたつ残っていた。あ、たった今、ひとつ売れてしまった。残るは、あとひとつ。
ラスイチをゲットするのはこのわたしだ!
気合いを入れてから人の波に突っ込んでいった。足を踏み入れると人口密度による熱気を浴びた。この戦がどれだけ大変なものなのかを痛感する。明日はいつもどおりお弁当にしようと、たった今決めた。
アメリカンドッグ以外はまたあとで選ぶとして、とりあえずは目先のものをゲットすることに専念しよう。二兎追うものは一兎も得ずっていうし。