きみのひだまりになりたい




「朝也なら追いかけると思ってた」


「うん、わたしも」


「まひるんは追いかけないだろうなって思ってたよ」


「うん、コレ買ってないしね」


「あー、それもそうだねー」




アメリカンドッグとライスバーガーとシュークリームを抱えたまま追いかけたら、いくら安いといえど万引きになってしまう。犯罪、だめ、ぜったい。これから購買出禁とか笑えないし。


でも、たぶん、買ってたとしても、追いかけなかった。

追いかけなくても、どうせ会える。


会いに行く。




「朝也って、木本朱里と知り合いだったんだね。木本朱里が野球やってたってうわさ、本当だったんだ」


「あ、ああ。中学んとき、チームメイトだった、けど……」




小野寺くんはクラスで唯一の野球部員。朝練後はいつもショートホームルームが始まるぎりぎりに教室にやってくる。早朝から汗まみれになって忙しそうでも、表情はいつだって輝いていた。


木本くんもそんなころがあったのかな。あったんだろうな。


木本くんの坊主姿か。想像つかないなあ。というか、野球部だからって坊主なわけじゃないよね。うちの野球部は伝統というか、ジンクスのようなものに願かけして坊主を推奨してるんだとかどうとか。


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