きみのひだまりになりたい


ぴしゃりと一刀両断された。廊下に反響して、エコーがかかっているかのように聞こえる。


窓側にいるわたしと先生を横目に、同級生と思しき生徒が数人、教室側を通り過ぎていく。そちらを一瞥すれば、生徒たちはあわてて目をそらした。


気まずいのはこっちも同じなんだけど。




「わたし、真面目ですよ。授業だってサボってないです」


「そういうことじゃない。態度を改めろと言っているんだ」




また態度ですってよ。身だしなみと態度はちがうと思うんですが、そう思うのはわたしだけなのでしょうか。


オレンジジュースでいやしたはずの疲労感がよみがえってくる。朝っぱらから疲れたくないのに、先生の圧は増すばかり。窓から入ってくる風も心なしか生ぬるい。ショートホームルームが始まるまで先生の圧を受け続けるのは、体力的にも、精神的にもきつい。



こうなったら……逃げちゃうか。




「わたし、改めませんよ。自分の好きな恰好でいます。そのほうが気持ちがいいから」




先生のするどい眼光を真っ直ぐ見据え、きっぱり言い切った。


何度言われたって、わたしの答えは変わらない。これからもわたしはわたしを貫く。先生の目には不真面目に映っても、わたしにとってはこれがわたし自身に真面目であること。ぜったいにゆずれない。


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