きみのひだまりになりたい
教えて。
聴かせて。
きみの気持ちも。
「す、ストップ! 待って木本くん! ねぇってば!」
屋上へと続く重厚な扉の手前。階段のせまい踊り場で、ぐっと足を踏ん張る。
やっと止まってくれた。木本くん、ずんずん先に進んで行っちゃうんだもんなあ。屋上のところまで戻ってきちゃったよ。昼休みが残りわずかなのを気にも留めてないんだろうね。別に、いいんだけど。
「木本くん、なんで……」
「大丈夫か!?」
「……え?」
急に木本くんの顔が近づいた。ドアップになる仏頂面に、畏れや憂いがわかりやすく渦巻いている。
大丈夫か? 大丈夫か、とは……?
もしかして……心配されている? なぜ? 木本くんに心配されることなんて何もなかったはずだ。疑問しか浮かばない。
状況を把握しきれず、ぽかんとすれば、木本くんは眉間を寄せた。
「大丈夫……なのか……?」
「……な、何が???」
何かが食いちがっている。それだけはなんとなく理解できた。
「やな思い、してたんじゃ……」
「してないよ?」
「…………なら、あんなとこで、何、してたんだよ」
「仲良し大作戦のご相談」
「はあ?」