きみのひだまりになりたい
結月ちゃんは、かわいい。そりゃあもう、女の子のいいところをぎゅぎゅっと詰めこんだくらい、超絶かわいい。友だちのひいき目なしに。まじで。かわいいの極み。
まず小柄で、華奢なところ。たれ目でやさしげな瞳がくりくりしているところ。ふんわりとしたボブの髪の毛が、小顔をさらにちっちゃく見せているところ。いやしのオーラをぶちまけているところ。
はい、かわいい。かぐや姫と言われても信じます。妖精と言われても信じます。かぐや姫と妖精のハーフならなおのこと信じます。
言わずもがな、中学のころは男女問わず人気でモテモテだった。高校生になってもそうなんだろうなと思う。だってかわいいもの。
そんな結月ちゃんが、ついに恋。恋、かあ。なんだか感慨深い。
「まひるちゃんこそ、青春してるんでしょ?」
「へ?」
「一緒にいた男の子。カレシじゃないの?」
「ちっ、ちがうよ! 友だち……みたいな?」
「そこ疑問形なんだね?」
うわさを知られていなくても誤解はされちゃったよ。男女ふたりで夏祭りを回っているシチュエーションは、考えてみたらデートそのものだもんなあ。今日何組のカップルとすれ違ったことか。
中学3年間、恋愛らしい恋愛をしてこなかった。そのことを結月ちゃんは知っているから、それで疑われたのもある。かもしれない。
「結月ちゃんは誰と来たの?」
「友だち……かな?」
「結月ちゃんも疑問形? ……あ、もしかして」
「……お察しのとおりです」