きみのひだまりになりたい
穴だらけの屋根に、光の雨が降る。月光よりもちゃちで、スポットライトよりも華やかな輝きは、わたしと木本くんのふたりだけを世界に閉じこめる。ビニール袋に住まわされたあの金魚も、こんな気持ちだったのかもしれない。
「逃げきれなくなったら、おいでって、言ったじゃんか! バカ!」
息苦しくてたまらないね。
「苦しいときは苦しいって言ってよ! 自分ひとりじゃどうにもできなくなるくらいなら、独りになったって、苦しいままじゃんか」
「……お、おれ、は……別に、だい」
「だいじょばない。全然、大丈夫じゃ、ない……!」
「……っ」
「うそつくともっと苦しくなる。自分までだまさないで。言葉にして、教えてほしい。聴かせてほしいよ」
「……お、れ……」
「ぜんぶ受け止めるから。そばにいたい、から……。思いも言葉も、ぜんぶ、大切にしたいの」
言ってくれたらよかったのに。それはわたしのわがままだ。けど、わがままになりたくなっちゃうの。
わたしは知らないから。きみは隠すのがクセだから。
逃げても無駄だとあきらめる、その前に。
逃げ道を失って立ちすくんだ、その隣に。
日の当たる場所があることに、気づいて。
わたしたちは、まだ、声を届けなくちゃわかり合えない。きれいに半分こにできなくてもいい。せめてわかち合いたいよ。
わがままでごめんね。許してね。