闇に溺れた天使にキスを。



「あれ、白野さん。
俺にくれるんじゃなかったの?」


けれど、手を引っ込めた時にはもう遅くて。

いつも通りに戻った神田くんが、どこか楽しそうに口を開いた。


「……うん、食べてほしい」

本当に美味しさを共有したかっただけなのに。


恥ずかしさのあまり、私は神田くんにお弁当箱ごと差し出し、自分で食べてもらうことにした。


けれどここにきて、神田くんの意地悪モードが発動してしまう。


「さっきみたいに食べさせてくれないの?」
「……っ、あれは勢いで…」

「じゃあその勢いのまま、俺に食べさせてよ」
「やだ、恥ずかしいもん」


頑張って否定する中、彼はいかにも楽しそうに笑っていて。

どんどん恥ずかしさが増していく。

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