闇に溺れた天使にキスを。
彼のお弁当箱は私のよりも大きく、やっぱり男の子なんだなと思わせられる。
お弁当の中身は、偏りのないバランスの良い料理が揃っていた。
「あっ、ベーコンだ…」
きんぴらに卵サラダ、唐揚げなどといった料理が並んでおり、その中で私の好きなものを見つけて声を上げてしまう。
アスパラを綺麗にベーコンで包まれている、アスパラベーコンを見つけたのだ。
「好きなの?」
私の反応を見て、小さく笑った神田くん。
それが恥ずかしくて頬が少し熱くなりながらも、素直に頷いた。
「じゃあこれ、どうぞ」
すると神田くんは、私の口元にそれを差し出してきて。
最初こそためらった私だったけれど、思い切って口に運ぶ。
「…美味しい」
恥ずかしさを必死で堪え、食べることに集中しようと心がけるけれど。
顔は熱くなる一方で。
「なんか、恋人同士みたいだね」
さらに追い討ちをかけるようにして彼がそんなことを言ってきたため、限界が訪れてしまう私。
涙が目に浮かび、泣きそうになる。