闇に溺れた天使にキスを。



「そんなかわいく照れるからダメなんだよ」

机を挟んで向かい側にいる彼が、手を伸ばして私の頭に手を置いた。

ぽんぽんされて、安心感が胸に広がり落ち着きを取り戻していく。


「そんなつもりはないのに…?」

「無自覚が一番タチ悪い。
男はもっと意地悪したくなるからね」


もっと…これ以上神田くんに意地悪されたら心臓がもたない気がする。


「じゃあ、どうすればいい?」

回避する方法があるのなら、ぜひ教えてほしい。


「どうにもできない、かな。他の男とは関わらないようにして、俺にはされるがままの白野さんが一番いい」

「え……」

「なんて、冗談。
でもまあ、他の男にはこんな姿見せたらダメだよ」


すぐに冗談と言った彼だったけれど、その前にすごいことをさらっと言った気がする。

あまりにも平然と言うものだから、完璧に聞き取れなかった。

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