闇に溺れた天使にキスを。
「んー、いつ頃だったかなぁ」
少し視線を上に向け、思い出そうとする動作に入る彼。
その時点で不思議だった。
考え込むほど、前にあけていた───?
多くの人が高校生になってからあけることが多い。
実際、ここの学校は校則に緩い。
けれど偏差値もそこそこ高いため、不良学校というわけではない。
実際頭髪にも緩いのだが、金髪の人は片手で数えられる程度しかいなかった。
「多分小学生の頃、だったかな」
「えっ…」
小学生の頃?
そんな小さい頃に、ピアスをあけていたの?
「あっ、驚いた?」
「う、うん……」
ピアスを小学生の頃にあけるだなんて、少なくとも私の周りでは見たことがない。
「じゃ、じゃあ…刺青、は?」
深入りするような質問だと、わかっているけれど。
何も知らない神田くんのことを、知りたいと思った。