闇に溺れた天使にキスを。



けれど、彼の答えは───


「俺が白野さんを狙う側になるね」


思わずビクリとした。
先ほどの甘さとは違い、低く静かな声に。

冷たさも感じられ、怖いと素直に思った。


「どうして私は狙われるの…?」
「俺から離れようとするからだよ」

「じゃ、じゃあ離れようとしたら何がダメなの?」
「白野さんが他人に言っちゃうかもしれないからダメ」


その言葉に対し、私は何度も首を横に振る。

「絶対言わないもん」

「もー、とにかく白野さんは俺から離れることなんて許されないよ」


どこか冷たく怖いと思ってしまう声から、一瞬のうちにして甘える声に変わる彼。

ギャップというもので、心臓に悪い。


ぎゅっと、抱きしめる力も強めてきて。
ドキドキと胸がうるさくなる。

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