闇に溺れた天使にキスを。
「それとも白野さんは俺が嫌?
離れたい?」
難しい質問。
それは私自身もわかっていない、複雑な状態。
私から踏み込んでおきながら、離れようとも考えてしまう中途半端な自分がいて。
「嫌じゃない、けど…」
「けど?」
「私がいないほうがお互いのためかなって」
「どうしてそう思うの?」
「邪魔になるかもしれないし…それに、私本当に力になんかなれないから」
もし、神田くんが怪我を負ってしまった時のような状況になるとすれば。
明らかに私は邪魔でしかなく、神田くんに余計な怪我まで負わせてしまうことだろうから。
「それだと俺のためにならないよ」
「え…」
「そばにいてほしいって思うから。だから俺は余計なことまでして白野さんを巻き込んだんだよ」
余計なこと、とはどれを指すのだろうか。
それでもこうなる“きっかけ”を作ってしまったのは、全部私自身だ。
保健室で、初めて彼の刺青を見てしまった日が恐らく“きっかけ”だろう。