闇に溺れた天使にキスを。
「ごめん、沙月ちゃん。
今日は図書室に行かないといけなくて…」
「そうなの?せっかく未央と話したかったのに」
「ご、ごめんね…」
「じゃあ今度、どっか遊びに行こうね」
断ってしまったことに罪悪感があったけれど、沙月ちゃんは笑い飛ばしてくれた。
また今度、沙月ちゃんと遊びに行ける。
そう考えただけでも嬉しくて、頬が緩んでしまう。
「ほら、その顔がみんなを魅了するの。容易にそんなかわいく笑ったらダメだよ?男なら期待しちゃう」
「へ…そんなつもりは」
「無自覚が一番ダメだから」
昨日、神田くんにも似たようなことを言われた気がする。
無自覚が一番タチ悪いって。
その無自覚という意味が、私にはよくわからないのだけれど。