闇に溺れた天使にキスを。



「ごめん、沙月ちゃん。
今日は図書室に行かないといけなくて…」

「そうなの?せっかく未央と話したかったのに」
「ご、ごめんね…」

「じゃあ今度、どっか遊びに行こうね」


断ってしまったことに罪悪感があったけれど、沙月ちゃんは笑い飛ばしてくれた。

また今度、沙月ちゃんと遊びに行ける。
そう考えただけでも嬉しくて、頬が緩んでしまう。


「ほら、その顔がみんなを魅了するの。容易にそんなかわいく笑ったらダメだよ?男なら期待しちゃう」

「へ…そんなつもりは」
「無自覚が一番ダメだから」


昨日、神田くんにも似たようなことを言われた気がする。
無自覚が一番タチ悪いって。

その無自覚という意味が、私にはよくわからないのだけれど。

< 123 / 530 >

この作品をシェア

pagetop