闇に溺れた天使にキスを。
もちろんスマホは持っているため、スカートのポケットから取り出す。
「じゃあ白野さんの連絡先、聞いてもいい?」
「え…」
「いつでもすぐに連絡できるように。
ちゃんと大丈夫だよって、連絡すれば早いだろうから」
どうやら彼は、勝手に不安になる私を安心させようとしてくれている。
「うん、交換してほしい」
これで少しは安心できるような気がした。
「ありがとう」
お礼を言われる筋合いはないのに。
むしろ申し訳ない。
面倒くさいことをさせてしまって。
けれど神田くんはどこか嬉しそうに見えたため、ほっとする自分がいた。
「じゃあ時間ができたら、すぐ連絡するからね。
それまで待っててほしい」
「わかった。待ってるね」
最後に神田くんはもう一度私の頭に手を置いたあと、私に背中を向けて図書室を後にした。