闇に溺れた天使にキスを。
普通ならダメだと断って、授業が終わった後やお昼休みに電話すると言うべきなのに。
「せ、先生……少し気分が悪いんで、保健室に行ってもいいですか……?」
バクバクと心臓が大きく音を立て、緊張しながらも、先生に嘘をついている自分がいた。
「わかりました。ひとりで保健室にいけそうですか?」
「は、はい…大丈夫です」
けれど先生は私のことをひとつも疑わず。
素直に受け入れ、保健室に行くことを許してくれた。
もちろん行き先は、保健室ではないのだけれど───
「やっぱり誰もいない…」
基本、1時間目からの実験はないため。
空き教室のある最上階には誰もいなかった。
静かで、きっと1時間目は誰も人が通らないだろう。
空き教室の鍵は神田くんが持っているだろうから、中に入ることはできない。
そのため廊下の隅へと移動し、もしも誰かが来てもいいよう周りを見渡せる位置へとやってきた。