闇に溺れた天使にキスを。
接近
私は、本が好きだった。
『また本の話?』
『未央ちゃん、本の話ばっかでつまんない』
本を読むことが大好きだった私は、その言葉で深く傷ついて。
いつしか本が好きだということを隠すようになった。
私もみんなと同じように少女漫画を買って読み、雑誌も集めた。
けれど本を封印することはできなくて、放課後一人で図書室に行っては借りたり、本屋さんで買ったりして、家で読んでいた。
それは高校生になっても同じだった。
みんなとドラマや好きな芸能人の話をする傍ら、週に一度図書室に行って好きな本を借りる。
そんなある日、私はある男の人を見つけた。
一瞬で目を奪われるほどの綺麗な容姿。
メガネをかけ、制服を着こなしている“真面目”な男の人だったけれど、かっこよさは滲み出ていて。
思わず話しかけたい衝動に駆られたが、必死でその気持ちを抑えたのを今でも覚えている。