闇に溺れた天使にキスを。
見え隠れ
時間が経つのは本当に一瞬だった。
そして1時間ほどだった時。
「……あ」
未だ神田くんに後ろから抱きしめられていると、スマホが振動した。
メッセージを確認したところで思わず声を漏らしてしまった私。
「どうしたの?」
神田くんの声に、慌ててスマホの画面を下に向ける。
「な、なんでもないよ……!」
「…それはすごく怪しいね」
私の行動を見て、神田くんに怪しまれてしまう。
「あ、あの…」
「うん」
「家族が心配してて…連絡するの忘れていたから」
神田くんと早く会いたいという気持ちが強くて。
連絡が来るまですっかり忘れていた。
その連絡相手とはもちろん───
お兄ちゃんである。
親が時間にうるさいのはよくあることだけれど、私の場合特殊で。
お兄ちゃんがすごく心配性な上に時間にうるさい。
両親は仕事で遅くなる日が多いため、夜までお兄ちゃんとふたりがほとんどの中。
私が少しでも連絡をせずに遅くなれば、とても心配されるのだ。
まだまだ外は明るいというのに。