闇に溺れた天使にキスを。
「本当に未央はハンバーグが好きなんだな。
今度、専門のお店にでも行くか?」
「行きたい、けど…やっぱりお兄ちゃんやお母さんの手作りがいいな」
ふたりが作ったものが、私は大好きなのだ。
「未央、すごくお兄ちゃん喜ばせるの得意だな!?」
「え?」
「この日のために俺は母さんに作り方を教えてもらったんだ!これからたくさん俺を必要として」
「か、帰る…」
なんだか暴走し始めてしまったお兄ちゃん。
何を言っても、結局は暴走という形になってしまうから止められない。
「未央、俺を見捨てないでくれ!未央に見捨てられたら俺、いったいどうやって生きていけば…」
「早く帰ってご飯食べるの」
「ご飯…そうか、俺が愛を込めて作った未央大好きハンバーグを一刻も早く食べたいんだな!」
「…………」
「ちなみに頑張ってハート型にしたからな」
まるで語尾にハートマークがつきそうな勢いだったため、言葉を失い思わず引いてしまう。