闇に溺れた天使にキスを。
「お兄ちゃん、相談に乗ってくれてありがとう」
「俺は何もしてないけどな」
「ううん。話聞いてくれてすごく楽になったの」
本当に不安でたまらなかった時、お兄ちゃんが話を聞いてくれて助けられたのだ。
「素直でかわいいやつめ。
これからもたくさん俺が未央を愛してあげるからな」
「それは大丈夫」
「ひどっ!ひどすぎるぞ未央」
これからもだなんて、考えるだけでも気が遠くなりそうだ。
「お兄ちゃんはいい加減、妹離れしたほうがいいよ」
結構本気で思っているため、お兄ちゃんに言ってみるけれど。
「未央離れとか考えられない、未央が離れるってことは俺に死ねと言っているのと同じだからな」
「お、重いよ…!」
「重くない」
「でもいつかは離れるんだよ?お兄ちゃんだって結婚したら家、離れるだろうし」
「結婚するなら未央とする」
「そんな冗談言わないで。兄妹なのに」
どこまでもシスコンなお兄ちゃんに、もはやため息しかつけない。
「じゃあ兄妹やめよう」
「やめません」
「なっ……それは、兄である俺の存在が必要ってことでいい!?」
「…………」
最終的に私は言い返すことを諦め、学校へ行く準備をすることにした。