闇に溺れた天使にキスを。
提出は夏休みが始まる前でいいって言ってくれたけれど、私にとったらそれですら短く感じてしまう。
「……はぁ」
進路のことを考えたら少し気が重くなる。
そういえば、神田くんも昨日呼ばれていたんだっけ。
つまり神田くんも、進路についてまだ決まっていないということなのだろうか。
彼のことを考えると蘇る、昨日の記憶。
きっともう二度と、彼と関わることはないだろう。
夢のような時間だった。
昨日のことを思い返しながらそっと紙に手を伸ばし、一度持って行こうかと悩んだけれど、結局それをやめた。
きっと学校に持っていったところで、空白を埋められる訳ではない。
そう考えると気が重くなり、自然とため息がこぼれた。