闇に溺れた天使にキスを。






「うー……」

「お、俺のかわいい未央が泣いてる。泣き顔もかわいいぞ。でもそんなに感動したのか?」



映画が終わり、エンディングの曲が流れている時。

ラブコメだと思っていたけれど、最後はとても感動するシーンがあり、それからずっと涙が止まらない私。


「だって、あんなラストだって思わないもん」
「未央をこんなになるまで泣かせた映画が憎いぞ」


冗談混じりにいうお兄ちゃんだったけれど、慰めるようにして頭を撫でてくれる。

鞄からハンカチを取り出し、それで涙を拭う。


「これからどうする?すぐカフェ行くか?
別に服とか見てもいいんだぞ」


こうしてお兄ちゃんと遊びに行く時、いつも私を優先してくれる。

重度なシスコンを除けば、本当に良いお兄ちゃんである。


「じゃあ服とか見たい」

「未央が気に入ったのあればいつでも言えよな。お兄ちゃんが買ってあげるから」

「い、いいよ…さすがに服くらいは」

「いや、逆にお願いしたい。
かわいい未央に貢がせてくれって」


貢がせてくれ、だなんて。
やっぱりお兄ちゃんはずれている気がする。


その後、ショッピングモールをぶらぶら歩き、本当にお兄ちゃんが服を何着か買ってくれた。

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