闇に溺れた天使にキスを。



「お兄ちゃん、大学ではどんな感じなの?」


気になったから聞いてみた。
お兄ちゃんの大人びているところだなんて、想像できない。


「えっ、未央が……未央が俺に興味を持ち始めた!?」
「朝ごはん食べてくるね」

「ちょ、逃げるなよ未央、俺の愛しの妹よ」


せっかく離れてくれたと思ったのに、今度は後ろから抱きしめてくるお兄ちゃん。

いつもいつも、よく飽きないなって思う。


「お兄ちゃん、離れてくれないと嫌いになる…」
「そ、それだけはダメだ!ほら、離れるから!」


だから私も好き放題されるわけにはいかなくて。

いつも嫌いになると言えば、お兄ちゃんは大人しくなる。
つまりこれが最終手段でもあった。

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