闇に溺れた天使にキスを。
私とお兄ちゃんは性格もだけれど容姿も似ていない。
だからお兄ちゃんといたら、誤解されることが多いのだ。
「なんで嫌とか言うんだよ、俺は嬉しいけどな」
「だって誤解されるんだもん」
「それが嬉しいんだろ?」
「え……どうして」
「未央に男が寄ってこなくなるから」
お兄ちゃんが満面の笑みを浮かべたかと思うと、また私を抱きしめようとしてきたから慌てて避ける。
「未央に避けられた…そんな」
「お兄ちゃんは帰ってください!」
「じゃあせめて駅まで。未央と一緒にいたい」
もちろん私はこれも拒否しようとしたけれど、お兄ちゃんに手をつながれてしまう。
「あっ、手つながないで…!兄妹なんだから」
「仲良し兄妹ってことで」
そう言ってお兄ちゃんは、本当に駅まで手を離してくれなかった。