闇に溺れた天使にキスを。
「だから今日も白野に会ったら拓哉、喜ぶだろうな。この3日間、負のオーラが漂ってたし」
「負のオーラ…?」
「ああ。それなのにお前に連絡とるの、ためらってたから矛盾だよな」
電話で話されたことを、今度は直接涼雅くんに言われる。
どうして私と連絡をとることにためらっていたのだろうか。
「もしかして、嫌…なのかな」
「はぁ?」
「ほら、会いたくないけど仕方なく……みたいな。それだったらどうしよう」
そんなの嫌だ。
もし本当だったら、私が迷惑な存在ということになる。
「……お前、どっからそんなネガティブ思考が来るんだよ」
「だ、だってわからないじゃんか…」
「嫌なわけねぇだろ。命かけて守ったんだから」
涼雅くんは気にしていない様子だったけれど、私は気になって仕方がなくなる。
もし嫌だと思われていたとして、会いに行ったらさらに嫌われるのではないか。
「や、やっぱり帰る…」
「バカ言うな。拓哉を元気付けて、早く怪我治させるのにはお前の存在が必要なんだよ」
「私の、存在…?」
「だから拓哉に会ったら言えよ?“無理すんな、治るまで絶対安静、家でおとなしくしとけ”って。
“治ったらキスしてあげる”的なこと言ってたら大人しくなるだろ」
「……っ!?」
き、キスって…涼雅くんはいきなり何を言いだすのだ。
こっちが恥ずかしくなり、顔が熱くなってしまう。
「な、何言ってるの」
「じゃねぇと拓哉のやつ、そろそろ任務を遂行しそうな勢いだけどいいのか?」
「え……」
まだ3日しか経っていないのに、神田くんはもう動こうとしているの?