闇に溺れた天使にキスを。
けれど神田くんはまったく起きる気配がない。
それだけ眠れていなかったのかと思うと、変に動くわけにはいかず。
涼雅くんの言う通り、その場でじっとしていた。
神田くんは時折ピクリと動きながら、スヤスヤと眠りについていて。
少し顔が見たいなと思い、顔を上げようとしただけで彼は私を抱きしめ直す。
「……ふふ、かわいい」
ここまで無防備な姿は初めてだったから、何故だか嬉しくなって頬が緩んでしまう。
どうか今日はぐっすりと眠れますように。
そう願いを込めて私も神田くんに寄り添った。
最初のうちは嬉しくて頬がゆるゆる状態だったけれど、時間が経つごとに私もなんだか眠くなってきて。
そういえばこの3日間、ろくに眠れていないことを思い出した。
少しだけ私も寝ようかなって。
神田くんに抱きしめられていると、安心して睡魔に襲われるから。
なんて、ただの言い訳だろうけれど。
一度眠気に襲われると抗うことはできないため、ゆっくりと目を閉じる。
だんだんと意識が遠のいていく中───
彼がまた私をぎゅっと抱きしめた気がした。