闇に溺れた天使にキスを。
高糖度
どのくらい眠っていたのだろうか。
特に起こされるわけではなく、何かに引き寄せられるようにしてゆっくりと目を開ける。
「……あ、やっと起きた」
すると頬を誰かに突かれるような感触がして。
確かめるようにそちらに目線を向ける。
まだぼんやりとする中、視界に映ったのは───
「……っ、か、神田く…!?」
ベッドに横になり、頬杖をつきながら私のほうを見ている神田くんの姿があった。
「おはよう、白野さん。
よく寝ていたね」
「……へ、今何時…」
「朝だよ」
「あ、さ……え!」
神田くんの言葉に焦り、起き上がろうとしたけれど。
「動いたらダメ」
神田くんがそれを許してくれず、頬杖をつくのをやめて私を抱きしめる動作へと入った。
「え、だって朝…」
もしかして、あれから朝まで寝ていたというのか。
それは一大事だった。
家族にも連絡していないし、朝まで神田くんのベッドで寝ていただなんて失礼極まりない。
「……ふっ、そんなに焦って。
大丈夫だよ、嘘だから」
かわいいねと言いながら、私を抱きしめたかと思うと今度は頭を撫でられる。
嘘…?
神田くんは今嘘ついたの?
「じゃ、じゃあ今って何時?」
「んー、夕方の6時ぐらいかな」
「ろ、6時!?」
夕方の6時ぐらいだったとしても、結構寝ていたことになる。
お昼過ぎにここへ来たわけだから、すでに長居してしまっている。