闇に溺れた天使にキスを。
「ご、ごめんね神田くんのベッドでこんな…」
「ほら、動いたらダメって言わなかった?
俺も寝起きだから大人しくしようね」
「神田くんも今起きたの?」
神田くんを見る限り、まったく寝起きには見えないのだけれど。
「そうだよ。白野さんのおかげでたくさん眠れたんだ。本当に来てくれてありがとう」
嬉しそうな声に、私まで嬉しい気持ちへと変わる。
「ううん、私が会いたくて来たの…」
怪我が心配で、無事かどうかだけでも確認したかったから───
「……あっ」
それで思い出した。
神田くんが深い傷を負っていると。
「か、神田くん、怪我は…!?」
いくら寝起きだからって、何忘れているんだと自分を恨みたくなる。
このために今日はここに来たのだ。
「怪我?…ああ、もう大丈夫だよ。
心配してくれてありがとう」
「う、嘘だ!」
涼雅くんが言っていた。
今は絶対安静だって。
「白野さん…?」
「神田くんのバカ、今日からしばらくは絶対安静だからね。怪我治さないと私、怒って嫌いになるからね!」
絶対安静だというのに、神田くんは任務を遂行しようとしたんでしょう?
そんなの危なすぎる。
「もう大丈夫だよ?白野さんのおかげで、傷口が広がらずにそこまでひどくならなくて済んだんだ」
「済んでないもん…絶対に安静にしないと私、神田くんと絶交する。別れてやるもん…」
勢いで言ったのはいいものの、別れるとまで言ってしまったことにひどく後悔して。
もし『いいよ』と言われたらどうしようって、不安に襲われる。