闇に溺れた天使にキスを。
「白野さんだからメイドの格好かわいいだろうな、とか。だって白野さん、絶対恥ずかしがるよね。想像しただけでもうかわいいの域を超えている」
「そ、想像なんてしないで…!」
恥ずかしい。
神田くんの頭の中に、私のメイド姿が浮かんでいるだなんて考えたら。
「顔真っ赤にして照れながら『おかえりなさいませ』って言われたらもう、たまらなくなる。
楽しみだな、たくさん照れさせよう」
「そ、そんなの死んじゃう…!」
今から意地悪なことを考えている神田くんを必死に説得する。
「恥ずかしいだけじゃ死なないよ」
「でも胸が、ドキドキしすぎてっ…」
「大丈夫。さすがに限度は超えないよう、努力するから」
「努力じゃダメだもん」
「でもすぐ照れる白野さんが悪いんだよ」
「むっ…」
最終的に私のせいにしてくる彼に、思わずむっとして不貞腐れるけれど。
「怒っちゃったね」
彼は私をあやすようにして頭を撫でるだけ。
もちろん気持ちよくて落ち着くと思ってしまう私も私だ。
最終的に怒ることをやめ、神田くんに頭を撫でられながら大人しくしていると───
「……なんだよ、この角砂糖みてぇなやりとり」
「……っ!?」
涼雅くんの声が背後から聞こえてきて、慌てて神田くんからは離れる。
勢いで起き上がり恐る恐る振り向くと、ここに来た時にはなかった折りたたみ式の椅子がベッドの横に置かれており、そこに涼雅くんが座っていた。
さらには呆れた表情で私たちのほうを見ている。