闇に溺れた天使にキスを。
「必死だ、かわいい」
それなのに、彼はまた私を照れさせるようなことを言ってくる。
冗談だとわかっていても、彼の優しい声音のせいで冗談に聞こえないからずるい。
「やっぱり行かない」
「え?」
「神田くんと一緒に、学校行かない…」
正確に言うと、神田くんと一緒になんて行けない。
ドキドキして、体温が上昇して。
初めての感覚に襲われるから。
「そっか」
神田くんが眉を下げて、寂しそうに笑った。
その表情に胸が痛くなる。
「ごめんね」
罪悪感に駆られ、神田くんに謝った。
「謝らなくていいよ」
「え…だって、私」
「さっきの言葉、取り消してもらえばいい話だから」
電車に揺れる中、次の駅に着く直前のアナウンスが流れる。