闇に溺れた天使にキスを。
学校の最寄りに着くまであと4駅。
「えっと、それって…」
さっきの神田くんが放った言葉の意味を聞きたくて、口を開いたその時。
壁についていないほうの手が、私の頭に置かれた。
そんな彼は笑う。
今度は、完全に意地悪っぽく───
その手は私を撫でるように、そして滑るようにして下へとおりていく。
「……っ、神田くん」
「頬が、熱くなってきたね」
わざと、そういうことを言う。
恥ずかしいに決まっているのに。
ドキドキと胸がうるさくて、恥ずかしくて。
少し周りが騒がしくなる。
同じ制服の人たちが、何人も同じ車両に乗っているのだ。
この状況を見て、もしかしたら誤解されるかもしれない。