闇に溺れた天使にキスを。
*
「今日転校生が来るんだって!」
早速涼雅くんと一緒にいて噂されては困ると思った私は、別々に行くことを選択した。
けれど教室に着けば、話題は転校生の話で持ちきりで。
沙月ちゃんも私に向かって転校生の話をしてきたから、思わず咳き込んでしまった。
「……未央?」
「あ、いや…なんでもない。どうして知ってるの?」
「なんか昨日、転校生と担任の先生が話してるところを見た人がいるらしいの!」
「え…」
昨日?
もしかして私を家まで送ってくれた後、涼雅くんはもう一度学校に行ったのだろうか。
「しかもイケメンなんだって!銀色の髪してたらしいから、不良かもって言ってたけど」
「そ、うなんだ…」
どうやらその人物は涼雅くんで間違いない。
銀色という言葉ですぐにわかった。
やっぱり涼雅くんはこの学校に転校生として来るようで───
「……え、ちょっと待って…」
「未央?さっきからどうしたの?」
「え、あの…さっき、担任の先生と話しているところって言ったよね?」
ドクンドクンと、徐々に鼓動が速まっていく。
嫌な予感しかしない。
「うん、言ったよ?
だからそのイケメンは私たちのクラスに来まーす!」
やったー!と喜ぶ沙月ちゃんに対し、私はただただ言葉を失い驚くことしかできない。
まさかこの学校に転校してくるだけでなく、私のクラスに涼雅くんが来るだなんて。
「目の保養だよね。未央もいっそのこと、その人と仲良くなってみれば?」
「へ…」
「まあ相手が未央に惚れる可能性大だけどね」
なんとなく、沙月ちゃんに気を遣わせているのだろうと思った。