闇に溺れた天使にキスを。



あれから神田くんは大量に出血していたため、輸血をするほどに危ない状態だった。

けれどなんとか手術は成功し、今もこうして入院生活を送っている。


そんな神田くんは、今現在私を睨むようにして見つめてきて。

不機嫌オーラが丸出しの彼に対し、涼雅くんは声に出して笑っていた。


「えっ、と…?」
「白野さんの浮気女」

「へ…」
「浮気女なんて大嫌いだ」


まったく言葉の意味が理解できなくて、言葉を失ってしまう私。



「……ぶはっ、やべぇって腹いてぇから」
「え、え…?」

「涼雅とラブホ行ったんだよね」
「……あっ」


心当たりがあった私はすぐにそれを思い出した。

もしかして涼雅くんが誤解するような言い方をしたのだろうか。

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