闇に溺れた天使にキスを。
そして───
また露わになる、昼休みにも見た和彫り。
シャツのボタンをふたつ開けただけなのに、刺青の一部がはっきり見えていた。
「本当はさ、上までボタンとめてるのって結構苦しいんだよね」
目を見開いて固まる私に、彼は気にせず言葉を続ける。
「これは、秘密だよ?」
人差し指を立てて、自分の唇へと当てる彼。
思わず見惚れてしまうほどかっこよく、そして綺麗だった。
怖いと思っていたはずの、鳳凰の刺青も。
耳たぶにつけられている、シルバーのピアスも。
全部が神田くんにぴったりだと思ってしまうほどに。
「ど、して…」
どうしてまた、私に見せるようなことをしたの?
本来なら隠すべきだというのに。
その刺青なんて無かったことにすればいいのに。