闇に溺れた天使にキスを。
柔らかな感触。
唇から伝わる温もり。
こうやって押し倒されるのも、全部初めてで。
神田くんに、キスされている───?
「……っ」
ようやく今の状況を理解した時にはもう、唇は離されていたけれど。
まだ近い距離に、彼がいた。
その瞬間、尋常じゃないくらい顔が熱くなって。
自分でも真っ赤になっているとわかった。
ドキドキと鼓動が速まり、どうしたらいいのかわからなくて焦ってしまう。
「あ……えっと」
キス、されたのはどうして?
どうして神田くんは私なんかにキスして…?
頭の中は混乱状態。
目の前の彼は至って冷静で、私の反応を見て小さく笑われるほどに。
「白野さん、どうしようか」
疑問に思っているのは私のほうだというのに、逆に質問されてしまう。