闇に溺れた天使にキスを。



「これで完全に、逃げられないね」


目の前にいる彼は、完全に危険なにおいを漂わせている。


「今の状況は全部夢じゃないよ。
事実だし、現実だから」


夢で終わらせないよう、彼がこのような行動にでたのだ。


まっすぐに私を見つめる、彼の瞳に吸い込まれそうになって。

思わず視線を逸らす。
これ以上、彼を見つめることはできないと思ったのに。


「どうして目、逸らすの?」

すぐそのことを指摘され、逃げ場を失う。
これ以上無理だ、彼を見つめるなんてことできない。


「白野さんの表情、俺に見せて」

低く甘い声が私を誘う。

落ち着かない私は、さっきからドキドキが止まらないというのに。

さらに追い討ちをかけられる。

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