闇に溺れた天使にキスを。



「だ、ダメ…」

言葉での抵抗が精いっぱい。
もちろん彼の顔なんて見れるはずがなく。


「本当にダメ?」
「……っ」


神田くんの、意地悪。
わざと額をくっつけてきて、さらに私を照れさせる。

ダメ、本当に。
心臓が壊れてしまいそう。


「か、かんだく…」


限界がきて、彼の名前を呼ぼうとしたその時。
保健室のドアが開く音がした。

あいにく、カーテンは完全に開けられているため、私たちの状況が丸見え。


つまり、入ってきた人にバレてしまう。


この状況を見られると、誤解されて当然だろう。

けれど今更間に合わなくて、ただぎゅっと目を閉じることしかできないでいたら───


「え……拓哉、さん?」

女の人の声が、はっきりと耳に届いた。
明らかに私たちを見て驚いている声。

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