闇に溺れた天使にキスを。
「白野さん、体起こすね」
呆然としている私の上体を彼が起こす。
本来なら自分で起き上がらないといけないのに、起こしてもらうだなんて恥ずかしい。
そこまで頭が回っていなかったのだ。
まるで小さな子供になったかのようで、恥ずかしくなる。
顔が熱くなり、どうすればいいのかわからなくなっている私を、彼はそっと抱きしめた。
私の顔が見えないようにしてくれた上に、落ち着かせるためか頭を優しく撫でられる。
次第に落ち着いていき、私は素直に身を預けた。
「拓哉さん、もしかしてその子にバレたんですか?」
その状態の中で聞こえる、深刻そうな先生の声。
「まあ、そうなりますね。
白野さんには背中の傷もこの刺青も見られました」
何故だか嫌な予感がしたけれど、彼の声はいつもと変わっていない様子。