闇に溺れた天使にキスを。
「……未央?呼ばれてるよ?」
「あっ、うん…どうしたの?」
考えごとをしていたため、つい反応に遅れてしまう。
「先生からの伝言があるんだけど、少しいい?」
そんな私に神田くんは優しく笑いかけながら、私の質問に答えてくれた。
「えっと…」
どうしよう。
これから沙月ちゃんと食堂に行く予定だ。
正直、それを言い訳にしてこの場から去りたいけれど。
きっと沙月ちゃんがそれを許してくれないだろう。
「未央、私のことは気にしないで!?
ゆっくり話してきてくれていいから!
いや、もう私は彼氏とご飯食べることにするね!」
「え、待っ……沙月ちゃん」
行ってしまった。
神田くんのひとことで、沙月ちゃんは一瞬にしてその場を去ってしまったのだ。