闇に溺れた天使にキスを。



「私、口下手だし、楽しい話なんて何もできないから」

「本の話をしている白野さんを俺は見たいな。
キラキラしてて、子供みたいにかわいい」

「子供…」


褒められている気がしない。
子供みたいにかわいいと言われても、正直嬉しくない。


「だから俺も明日行くね」
「えっと…」

「ダメ?」
「……っ」


その聞き方、ずるい。
私が断れないと知っててやっている。


「だ、大丈夫だよ」
「本当?ありがとう」

今度は子供のように幼く、そして嬉しそうに笑うからもっとずるい。


そのギャップにやられ、胸が高鳴ってしまう。


「白野さん、ここまで連れてきてごめんね。
話はこれで終わりだから」

「あ、うん…」


どうやら話はこれで終わりのようで、私と神田くんは教室から出たけれど。

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