闇に溺れた天使にキスを。



それを確認した私はほっと息をつき、自分の席へと向かう。

元々今日は沙月ちゃんの付き添いで食堂に行き、私はお弁当を食べるつもりだったから救われた。

だってひとりで食堂に行き、食堂のご飯を食べるだなんて寂しいし周りの目を気にしてしまう。


だからお弁当があるため、教室で───


教室、で。
私はひとりでお弁当を食べるの?


慌てて周りを見渡す。
もうみんな、とっくにお弁当を食べ始めていた。

それに私は、一緒に食べようだなんて言える性格をしていない。

それほどに臆病で。
血の気が引くような感覚に襲われる。


どうしよう、ひとりだなんて絶対無理だ。



『お昼はここで食べようと思って』


その時、神田くんの言葉を思い出した私。
また空き教室に行けば、神田くんがいる。

彼になら勇気を出して頼めるかもしれないし、一緒に食べてくれるかもしれない。


淡い期待を抱き、結局私はもう一度、空き教室へと目指した。

今度は手に、お弁当用の鞄を持ちながら───

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