闇に溺れた天使にキスを。
「あ、あの、神田くん…」
窓の外を眺めている彼の横顔は、見惚れてしまうほどに綺麗で、彼の名前を呼ぶことにとても緊張してしまう。
「…白野さん、どうしたの?」
すると彼はこちらを向き、いつもの優しい笑顔をみせてくれた。
「あの…えっと」
ここまできて、言葉に詰まる。
自分勝手な私に呆れるかもしれないと考えたら。
「ゆっくりでいいよ」
そんな私に、神田くんは目を細めて微笑みかけてくれた。
瞬間、強張っていた体の力が抜けた気がして安心する。
「一緒に、ここでお昼食べてもいい……?」
恐る恐る言う形になってしまったけれど、ちゃんと言えた。
これで神田くんが、どう思ってくれるのか───
「うん、一緒に食べよう」
やっぱり、彼は優しい。
こんな私に対しても呆れず、怒らず。
優しく受け入れてくれる。